フランスのワインを知ってもっともっとボジョレーヌーボを楽しもう。

ボショレーヌーボ

ボショレーヌーボとは?

フランスのブルゴーニュ地方ボジョレー地区で作られる新酒・赤ワインです。毎年11月の第3木曜日午前0時に販売が解禁されています。ボジョレーは、ブルゴーニュの南にあり、ガメイ種という葡萄から造られる、フルーティーで若々しく、柔らかなAOCワインです。ボジェレー・ヌーボーは、その年に収穫されたブドウで造られた新酒であり、ブドウが良質であるかを確認するためのものでもあります。季節の楽しみとして、毎年世界中のワイン好きが待ちわびるヌーヴォーは美味しさを最大限に引き出すために、マセラシオン・カルボニック醸造法を駆使して造られています。軽快で渋みがほとんど無くやさしい口当たりで、はじめての方でも飲みやすいワインとされています。ちなみに輸入量第1位は日本であり、全生産量の約4分の1を占めています。

地理

ボジョレーは、フランス南東部・リヨンの北に位置する土地で、中央高地の北東部、丘陵地域であります。東部がソーヌ川谷に接し、西がロワール川谷に接しています。ボジョレーの標高最高地点は、1009mのサン・リゴー山です。

歴史

1898年、ボジョレー出身の教師、クローディウス・サヴォワイエが先史時代のボジョレーに関する本を執筆しました。ボジョレーは、9世紀にはリヨネーおよびフォルズ伯爵ギヨーム(900年没)が納める男爵領であったのです。彼が死ぬと男爵領は息子のベラールが継承し、ベラールは初めてのボージュー卿となりました。この家系はギシャール5世の死んだ1265年に断絶しました。ギシャール5世の女子相続人イザボーは、フォルズ伯爵ルノーと結婚し、彼らの子孫が第2期のボージュー卿家となりました。ボージュー男爵領は1400年、エドゥアール2世・ド・ボージューと甥ルイ2世・ド・ブルボンの取り決めによってブルボン家のものとなりました。ルイ2世の子孫ピエール2世はフランス王女アンヌ・ド・フランスと結婚し、彼女はボージューの貴婦人と呼ばれました。1522年、ボジョレーはシャルル3世・ド・ブルボンから没収され、フランソワ1世の母ルイーズ・ド・サヴォワに与えられました。1531年に王領とされ、1560年にフランソワ2世によってモンパンシエ公ルイ3世・ド・ブルボン=ヴァンドームに与えられました。彼の女子相続人であったマリーがルイ13世の弟ガストン・ドルレアンのもとへ1626年に嫁ぐ際、ボジョレーは彼女の持参金の一部となりました。マリーは一女アンヌ・マリー(別名のグランド・マドモワゼルの名で知られる)を遺して急逝しました。子のなかったアンヌ・マリーは、ルイ14世の弟フィリップ1世にボジョレーを遺贈しました。ボジョレーはのちにオルレアン家の持つ儀礼称号(ボジョレー伯)に取り立てられました。ボジョレー伯の称号を持っていた最後の王族は、フランス王ルイ・フィリップの実弟で、1808年に独身のまま死んだルイ・シャルル・ドルレアンです。

解禁日(11月の第3木曜日)の秘密

現在、ボージョレ・ヌーボーの解禁日は毎年11月の第3木曜日です。しかし実は、一番最初は11月11日が解禁日だったのです。それは、ボージョレ地区で最も収穫の早いワインが出来あがるのがいつもだいたいこの日の周辺であり、さらにこの日はサン・マルタンの日という聖人の日であったため、縁起も良いしボージョレ・ヌーボーの解禁日にしよう、ということになったのです。ところが後に11月11日はサン・マルタンの日から無名戦士の日に変更されてしまったため、その日から一番近い別の聖人の日、サン・タルベールの日である11月15日に解禁日を移しました。しかし、またもや問題が発生しました。解禁日を固定してしまうと、年によっては土曜日や日曜日になってしまい、売れ行きにも大きな影響があります。(フランスでは、日曜日は殆どのワインショップ、レストランがお休みなのです。)そこで、フランス政府が1984年に解決策を考案しました。「毎年、11月の第3木曜日」という、毎年変動する解禁日に設定した、というわけです。

仕込みの秘密

ボージョレ・ヌーボーは、単なる新酒だと思っている人が多いのですが、そのほかにワインの造り方の上でも大きな特徴があります。それは「マセラシオン・カルボニック」という醸造方法です。日本語に訳すと「炭酸ガス浸潤法」といいます。通常は収穫したぶどうを破砕してから発酵させますが、マセラシオン・カルボニック法では、破砕せず縦型の大きなステンレスタンクに上からどんどん入れてしまいます。タンクの下の方のぶどうは重さでつぶれ、果汁が流れ出て自然に発酵が始まります。発酵が始まると炭酸ガスが生成されますから、次第にタンク全体が炭酸ガスで充満します。その中ではつぶれていないぶどうの細胞内部で酵素の働きによってリンゴ酸が分解され、アルコール、アミノ酸、コハク酸などが生成され、ぶどうの皮からも成分が浸出します。この方法で造ったワインはタンニンが少ないわりには色が濃く、渋みや苦味が通常のワインより少なくなります。リンゴ酸も分解されるので、味わいもまろやかになり、炭酸ガスによって酸化が防止されるのでワインがフレッシュに仕上がります。全体的にライトな感じにできあがり、独特のバナナのような香りもします。したがって新酒の状態でも充分飲めるものになるわけです。一般的にマセラシオン・カルボニック法は上記のように自然に発生する炭酸ガスを利用する方法と炭酸ガスを外から注入する方法の2種類があります。ボージョレ・ヌーボーは短時間で醸造を行わなければならないため、後者の炭酸ガス注入法を行っているとされていますが、一方でボージョレの人々は前者の方法を行っているといっています。

美味しい飲み方

フレッシュさが特徴のボージョレ・ヌーボーは、少し冷やしたほうがすっきりとお楽しみただけます。普通のワインの場合、冷やしすぎるとタンニンによる渋みが強調されて飲みにくくなってしまいますが、ボージョレ・ヌーボーは渋みが出ないような造り方をしているのでその心配はありません。冷蔵庫で1時間くらい冷やして、お料理とともに気軽にお楽しみできます。早飲みタイプのワインなので、購入後はなるべく早いうちにお飲み頂くことをお勧めいたします。

毎年騒がれる理由

通常、フランスの赤ワインは秋の収穫、発酵、醸造を経て翌年以降に飲まれますが、ボジョレー・ヌーヴォーは特別な製法によって、9月の収穫から2か月程度で発売される出来たてのワインです。フレッシュな味わいで渋みが少なく口当たりが軽いため、普段ワインを飲まない方にも飲みやすく、値段も手ごろ!その年の収穫祭のような文化的側面もあるため注目されるのです。20数年前(ちょうどバブル期)に日本でブームになった頃は、初物好きの日本人と揶揄されたりしましたが、すっかり定着した現在は、秋の風物詩としてその味を楽しむ方も多く、日本への入荷量はトップレベルです。

なぜ日本のボジョレーヌーボー市場は継続しているのか

ボジョレーヌーボーは日本では、2007年はおよそ800万本、それ以前の3年間は1000万本を超える輸入となっています。年によって若干の売れ残りはあったとしても、そのほとんどは消費されています。日本の20歳以上の飲酒可能人口は、およそ1億人です。1億人すべてがお酒を飲むと仮定しても、1000万本のボジョレーヌーボーが消費されたということは、日本国民の10人に1人はボジョレーヌーボーを買ったという計算になります。1億人すべてが酒を飲むわけではありませんから、実際は7~8人に1人の割合でボジョレーヌーボーが買われ続けていると見てよいでしょう。これは驚くべき数字です。もし一度買って飲んだボジョレーヌーボーが気に入らなかったら、たとえ1年に1回のお祭りであったとしても、次の年もまたその次の年も買おうという気にはならないでしょう。つまり、ボジョレーヌーボーを買っている消費者は、ボジョレーヌーボーの味が好きだということになります。その上に、たとえば今年のヌーボーは出来がよさそうだといったメディアからの事前情報が購買期待を膨らませます。しかも日本で販売されるボジョレーヌーボーは空輸であるために、小売価格はかなり高くなります。価格が適度に高いというところがまた消費者には受けるところでもあるようです。現にここ2~3年の動きは高額のボジョレーヌーボーのほうから売れていくという動きも出てきています。

日本におけるボジョレーヌーボーの今後

ボジョレーヌーボーは日本においては非常に大きな市場で、高額なワインが極めて短期間に大量に売れる大きな商機ですが、今後もこの傾向が続くのかどうかが気になるところです。2008年から直近の2~3年で消費者がずいぶん変化してきているように思います。たしかに消費者はボジョレーヌーボーを買い続けているのですが、その中身を見てみますと面白いことがわかります。大きな変化が見られるのは、消費者がワインを吟味し出したという点です。はじめのうちはボジョレーヌーボーなら何でもよかったのが、何年も飲み続けるうちにボジョレーヌーボーの記憶が蓄積され、自分の好きなタイプが出来つつあるのです。つまり、消費者が自分の好みのワインの基準を持ち始めたということです。このことは大きなことで、大量に輸入されるボジョレーヌーボーの品質にはかなりのばらつきがありますから、品質の伴わないワインは淘汰されるという時代が実は目の前に来ているということです。先にも述べましたとおり、日本でのボジョレーヌーボーの価格は空輸であるため高価です。そのため、消費者がワインの中身を吟味し始めると、価格と中身が見合っていないと判断されたワインは、敬遠されていくでしょう。これは、品質を伴っていないワインを扱っている店を敬遠していくということでもあります。さらに好みとするボジョレーヌーボーの飲み口に変化がでてきています。初めのころはいかにもボジョレーヌーボーらしい、チャーミングなワインが好まれていたのが、最近ではしっかりとした飲み口のボジョレーヌーボーに消費者の好みが振れてきています。それはマセラシオンカルボニックによる発酵をおこなっていないボジョレーヌーボーが好まれるようになってきていることにも現われています。それらさまざまな変化を総合してみますと、日本のボジョレーヌーボーの市場はいきなり急激に落ちることはないものの、徐々に低減していくものと思われます。しかし依然しばらくはワインの大きな販売チャンスであることには変わりないでしょう。